愛する石と「さようなら」をした話


石が好きだ
ブレスレットもネックレスも原石も
数えきれないくらい持っている

前日の夕食を思い出せない時もあるというのに
石たちに関しては
いつ、どこでお迎えしたものか、全て覚えている
それを愛と呼ぶのかは分からないから
そういう星の下に生まれたのだ、と考えることにする


✶


どんなに大好きな人とでも必ず
「別れのとき」があるように
石との間にも「別れのとき」は存在する

目と目が合った瞬間に
火花散るように惹かれ合った出会いでも
なんとなく気になる、から
すごく気になる、に変化して
忘れられない…!に到達した出会いでも
出会い方は何であれ
必ず「そのとき」は訪れる


✶


つい最近も、とある石とお別れをした
わたしが辛いときや
頑張りたいときに手に取っては
背中を押してもらったり
勇気をもらったりしていた子だ

本当はまだ一緒にいられた

だけれど
その子を通して見る未来と
いまのわたしが行きたい未来との間に
大きな隔たりがあること
そして
その子を通して見る未来は
いまのわたしが超えたい壁であることに気が付いて
地球に還すことを決めた

✶

当然だけど
すぐには決められなかった
思い出もたくさんあったし
一緒に同じ夢を描いて二人三脚で歩いてきた
大切な仲間だったから

けれど
いまのわたしが行きたい未来を思い描いたときに
その子と一緒にいる未来は描けなかった

正確に言うと
その未来を「思い描くこと」は出来た
しかしそこには
聞くに耐えない不協和音が響いていた

ああこれは、もうおしまいなんだな、とおもった


✶


お別れすることを決めて
それを石に告げたときの
あの子の
ホッとしたような優しい笑顔を
わたしは忘れられない
あんなに優しい顔は
いままでにいちども見たことがない
いつもわたしを奮い立たせてくれる存在だったから

掌に載せたその子から
わたしの決断を心から喜んで
応援してくれていることが伝わってきて
泣いてしまった

どんなときも無償の愛で
わたしのそばにいてくれたこと
どんなときもわたしのために
全力で力を貸してくれていたこと
きっとわたしが愛する以上に愛してくれていたことを
最後の最後で本当に理解して
泣いてしまった

✶

いざ地球に還すそのときには
とても穏やかな顔をしていた
やりきったよ、悔いはないよ、という顔

わたしももう、涙は出なかった
石の意志をしっかり受け取ったから

もう二度と
その手を取ることは出来ないけれど
地球の一部として
これからもきっと側にいてくれるから


✶


長々と書いてしまったけれど
わたしが愛した石へのお別れの言葉と共に
この記事を終わりにする


そしてわたしと同じように石を愛する人へ
これから愛したいと願う人へ
ここまで読んでくれたあなたへ

どうか
いまそばにいる石たちと
これから出会う石たちと
たくさんたくさん愛し合ってください

そして出来たらこの話と感想を
あなたの愛する石にも伝えてください

石を愛するあなたが
彼らと共に行く日々が
たくさんの光に満ちていますように



✶✶



大好きだった、あの石へ

寂しいけれど大丈夫だよ
これはあなたが
望んだことでもあったんだね

ありがとう
あなたがいてくれたから
わたしはここまで来ることが出来ました

どうかそこから見ていてね
あとはもう、やるだけだ

あなたと描いた夢の上に
新たな大きな夢を描くよ

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The real voyage of discovery consists not in seeking new landscapes,but in having new eyes. --- Marcel Proust

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